ハバネロと、チーズ

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それからまた、一週間が経った。 旧校舎は、以前のようなみすぼらしい雰囲気ではなく、モダンな空気を漂わせ、新しく作られた短い林道と合わせて非常にセンスの良い建物になっていた。 「へぇ……。化粧すれば何でも化けるんだな。」 「可愛いは憑かれるって奴ね。」 「………作れる?」 「そうとも言うわね。」 麗奈ともこんな冗談を言い合える位には仲良くなって。 「フフ……私で良ければ化けてみようか?」 「そのままのあなたが一番です。」 「もう、るーや君たら……。」 鎖暁さんにも「るーや君」なんて昔からのアダ名で呼ばれるようになって。 そして、鎖暁さんにそんなアダ名で呼ばれるようになった原因となったのは、 「森の外れの旧校舎………妄想がはかどりますな!」 俺の隣にいるちっこい奴が「部活」に入ったからだ。 青海 兎月(あおみ とづき) 俺の昔からの親友で、小学3年生の時からずっと同じクラスが続いてる仲だ。 身長は150センチとちょっとで、痩せ型。 黒ぶちメガネと、テンパのフワフワした髪が特徴である。 一見大人しそうに見えるが、火が付くとテンションがうなぎ登りである。 更に、人畜無害な顔をしているくせに、スラスラと下ネタを話すので要注意。 「るーや、ところで…ぅわあっ!?」 あ、木の根に引っ掛かって転んだ。 ………ついでにドジっ子である。 「いてて……。」 「大丈夫か兎月。」 「あ、るーやありがとー…。」 基本的に誰かと打ち解けやすいので、前の部活見学の時は皆に引っ張りだこだったのだが、 「るーやと同じ部活に入るよ!」 何て言ってくれて、今に至る訳だ。 しかし、 「ところでさ。この部活って何やるの?」 残念ながら、それが俺にも解らないのである。
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