~アンチョビソースと鰹節~

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さてさて、学校に無事にたどり着き、同じ学校を受けた親友と同じクラスになれた事をひとしきり喜び、意気揚々と二人で教室に入った。 彼はそれから、クラスの色んな奴に声を掛けていたが、生憎俺はそんなコミュ力は持ち合わせていないので、静かに席に付き、クラスメイトとなった彼ら彼女らの風貌を観察していた。 まあまあそれから時間が経って、入学式も終わり、さぁ次はクラスメイト同士の紹介というお決まりの流れとなる。 メガネで中肉中背の、THE担任とでもいうような担任が、 「えーとじゃあ、出席番号順にいこうか。まずは……阿井さん!」 と、呼ぶ。 阿井と呼ばれた少女は はいっ!と元気良く返事をして、無難な挨拶を元気良く述べる。 やはり、新しい生活が始まったからといって面白いこと、裏を返せば非常識なことは起こらないものなのだ。 それを、起こそうとする者がいなければ。 あれ?と思ったのは、俺の前に座っている奴が呼ばれた時からだった。 「次は……鎖暁さん。」 はぁい。 何て言うか、おっとりした感じだなー。というのが声から感じた第一印象だった。 教壇の前で、鎖暁さんが振り返る。 背丈は155位だろうか。 細くて軽そうだ。 肩までのショートなのだが、クセっ毛なのか四方八方にフワフワと髪が伸びている。 前髪で少し目が隠れていて、目元には最後列からでも見えるくらいのクマ。 ………………あかん。 それが外見の第一印象だった。 「鎖暁 優乃(さぎょう ゆうの)特技はプログラミング、趣味はアニメとハッキング。………あの子のケータイからペンタゴンまで。見たい物があればいつでも声を掛けてほしい。……………ちなみにモザイクを消すのは有料になる。」 あかん! というのが彼女の印象になってしまった。 スラスラと、とんでもない事を口走って男子をざわつかせると、彼女はまた席へ戻ってくる。 チラッと目が合った。 暗そうな外見と裏腹に友好的な笑みを返され、面食らうが、スグに。 「はい、じゃあ……詩歌葉。」 俺の名が呼ばれる。 はい、と控えめに、しかし皆に聞こえるように返事をして前に行く。 「えと、詩歌葉 瑠璃也(しかば るりや)です。ガンガン話掛けてほしいです。」 うむ、無難だな。 何とか前の人のぶっ飛んだ発言のインパクトは薄めれたはず。 しかし。
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