砂糖と塩と、酢と醤油

4/5
前へ
/17ページ
次へ
「………とは言った物の、部活を作るには条件が必要だろ?」 夕暮れのオレンジに染まった教室、まだ人が残る教室で、俺と彼女は会議する。 「えぇ、そうね。」 「顧問とか、部員は……最低3人だっけか?あと、空いてる教室なんてあったか?」 国を作るには、国民と王様と領土が必要なのだ。 これでも大分緩い方なのだろうが、少なくとも昨日今日で部活を作ることはできない。 教室に至っては、今から作る奴らとも取り合いになるだろうし……。 「顧問はもう見つけてるわ。」 「えっ!?」 「っていうか、ずっと隣にいるんだけど。」 「えっ!!?」 「ここですっ!」 バッ!と麗菜の腰の辺りからちっこい何かが飛び出る。 「あ、すいません…驚いちゃいました?」 「う、うん……。」 「あぅう……ごめんなさい…。」 シュンとした「それ」は、どこからどう見ても幼女だった。 髪は、全体として丸いイメージで、首の辺りでくるんと内側にカールしている。 140センチもいかないであろうその体を、白衣に包み、顔には不相応に大きいメガネ。 どこからどう見ても幼女である。 「えっと……。保健医の桔梗 小夢(ききょう こゆめ)と申します。教師一年生です。」 「なるほど、新任の教師なら顧問になりやすいと。」 「えぇ、それにこの子、お菓子あげたらやってくれそうだったから。」 「わ、私これでも君達より年上なんですよー!?」 そんな涙目で見つめられても説得力が無いです。 「……っていうか保健医って顧問になれるのか?」 「えぇ、一応他の保健医の先生も顧問やってる人がいるみたい。しかも、保健室や理科室にある楽しい薬品が使い放題になるわ。」 「へぇ……っていうか小学生は顧問になれるのか?」 「22です!」 「……って本人も言ってるし、こんなんでも教員免許は持ってるから大丈夫よ。」 「ちなみに教科は?」 「えっと……保健です。」 ………犯罪の匂いがプンプンするぜ。 「ふむ、顧問は確保出来た訳だ。しかし、部員3人は?俺とお前と……。」 「あぁ、問題無いわ。………ね?優乃?」 そう言って彼女は俺の前の席の人に話掛けた。 「ふふ……話は聞いたよ。私も入らせてほしい。」 鎖暁さんが振り返る。 よろしくネ。と、笑みを投げ掛けてくる。 「あっさり決まったな……って事は部室も?」 「えぇ、とびっきり広い所に目星を着けてあるわ。」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加