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「………とは言った物の、部活を作るには条件が必要だろ?」
夕暮れのオレンジに染まった教室、まだ人が残る教室で、俺と彼女は会議する。
「えぇ、そうね。」
「顧問とか、部員は……最低3人だっけか?あと、空いてる教室なんてあったか?」
国を作るには、国民と王様と領土が必要なのだ。
これでも大分緩い方なのだろうが、少なくとも昨日今日で部活を作ることはできない。
教室に至っては、今から作る奴らとも取り合いになるだろうし……。
「顧問はもう見つけてるわ。」
「えっ!?」
「っていうか、ずっと隣にいるんだけど。」
「えっ!!?」
「ここですっ!」
バッ!と麗菜の腰の辺りからちっこい何かが飛び出る。
「あ、すいません…驚いちゃいました?」
「う、うん……。」
「あぅう……ごめんなさい…。」
シュンとした「それ」は、どこからどう見ても幼女だった。
髪は、全体として丸いイメージで、首の辺りでくるんと内側にカールしている。
140センチもいかないであろうその体を、白衣に包み、顔には不相応に大きいメガネ。
どこからどう見ても幼女である。
「えっと……。保健医の桔梗 小夢(ききょう こゆめ)と申します。教師一年生です。」
「なるほど、新任の教師なら顧問になりやすいと。」
「えぇ、それにこの子、お菓子あげたらやってくれそうだったから。」
「わ、私これでも君達より年上なんですよー!?」
そんな涙目で見つめられても説得力が無いです。
「……っていうか保健医って顧問になれるのか?」
「えぇ、一応他の保健医の先生も顧問やってる人がいるみたい。しかも、保健室や理科室にある楽しい薬品が使い放題になるわ。」
「へぇ……っていうか小学生は顧問になれるのか?」
「22です!」
「……って本人も言ってるし、こんなんでも教員免許は持ってるから大丈夫よ。」
「ちなみに教科は?」
「えっと……保健です。」
………犯罪の匂いがプンプンするぜ。
「ふむ、顧問は確保出来た訳だ。しかし、部員3人は?俺とお前と……。」
「あぁ、問題無いわ。………ね?優乃?」
そう言って彼女は俺の前の席の人に話掛けた。
「ふふ……話は聞いたよ。私も入らせてほしい。」
鎖暁さんが振り返る。
よろしくネ。と、笑みを投げ掛けてくる。
「あっさり決まったな……って事は部室も?」
「えぇ、とびっきり広い所に目星を着けてあるわ。」
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