砂糖と塩と、酢と醤油

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とびっきり広い所……? 「一体何処なんだ?」 ふふん、と彼女には珍しく得意気に笑うと短く、 「旧校舎よ。」 と、言った。 「は?あそこは老朽化がどうとかで使えないんじゃ……。」 ばかみたいに広い学校の敷地の中に繁った、森の中にポツリとある木造の古い校舎だ。 驚くべき事は、この学校、創立100年を超えており、戦後に今の校舎を建設、そして改修に改修を重ねて今に至るわけだ。 そんな100年以上前に作られた校舎、しかも50年以上放置されていた建造物が危険じゃない訳が無く、立ち入り禁止となっているはずだが…………。 「だったら、安全にしてしまえば良いんでしょ?」 「えっ?」 「老朽化しているならリフォームしちゃえば良いって事よ。」 おい、それはこの3人でやるという事か? しかも男手は俺一人だぞ? あ、桔梗先生にも手伝ってもら………… 「ふぇ?」 えない。こんなにちんまい子にトンカチなんて持たせられない。 視線合わせただけでオドオドしてるような子に、そんな力仕事を押し付けるなんて絶ッッッ対に無理だ。 「一体何ヵ月かけるつもりだ?」 「一週間。」 「は?」 「一週間で工事は終わるわ。」 「え…………えっ?」 「実はね、ちょっと校長に交渉したのよ。」 「何を?」 「旧校舎は、歴史的に貴重な資料が豊富にあり、戦前や明治の教育の名残を感じることは現代に生きる若者にとっても有用であり、早急な改修と開放を要求します。…………って言ってきたの。」 こいつ……中々の役者だな。 「良く許可してもらえたな。」 「ま、色々あるのよ。」 「………?」 「さて、これで決まりね。あとは一週間、もっと部員を勧誘するわよ!」 「お、おー!」 「了解……。」 彼女は、凄い人だ。 グイグイと周りを引き込んで動かしてしまう。 真っ先に引き込まれたのは、俺なんだな……。 そう思った瞬間、口が動いていた。 「解ったよ。」
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