508人が本棚に入れています
本棚に追加
本当に、すごく間違っている。
あの集団の中に、
確かに友情は存在していた。
あの部屋で、
板東先輩を思いやる声も、
実際に聞かれた。
――でも……。
なぜ、縛られている板東先輩の
ロープを解くことは、
誰も考え付かなかったんだろう。
みんなが悪魔のような人間ではない。
ひとりひとりは、友達思いの、
普通の高校生にすぎない。
ただ……間違ってしまっていた。
あそこにいる誰もが、
このループが終わる事を
望んでいたのに。
この悪夢のような遊びが
いつまで続くのか、
不安で仕方がなかったのに。
それでも、
仲間を裏切る事こそ悪だと思い込み、
あの小さな空間でのルールを、
ただひたすら、仲良く
守り続ける事しか出来なかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!