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本当に、すごく間違っている。 あの集団の中に、 確かに友情は存在していた。 あの部屋で、 板東先輩を思いやる声も、 実際に聞かれた。 ――でも……。 なぜ、縛られている板東先輩の ロープを解くことは、 誰も考え付かなかったんだろう。 みんなが悪魔のような人間ではない。 ひとりひとりは、友達思いの、 普通の高校生にすぎない。 ただ……間違ってしまっていた。 あそこにいる誰もが、 このループが終わる事を 望んでいたのに。 この悪夢のような遊びが いつまで続くのか、 不安で仕方がなかったのに。 それでも、 仲間を裏切る事こそ悪だと思い込み、 あの小さな空間でのルールを、 ただひたすら、仲良く 守り続ける事しか出来なかったのだ。
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