508人が本棚に入れています
本棚に追加
フジコ先生は、
選り分けた書類を
足元の段ボールにドサッと入れた。
「サッカー賭博の件、聞いた?」
「あ……はい、あの都筑って人から」
「じゃ、生け贄、っていう話も?」
「……はい」
わたしはマグカップに
目線を落とした。
「みんな、どうして抜けるって
言えなかったんだろう。
もう、やめようって。
……だって、
力で押さえつけられていたって
わけじゃないんですよ?
誰かに怯えてるって
わけでもなくて、
すごく仲良しだし……。
いったい、何があの人たちを
縛り付けていたのか…」
「友情よ」
「――友情――?」
先生の言葉の意味が分からず、
首をかしげる。
最初のコメントを投稿しよう!