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フジコ先生は、 選り分けた書類を 足元の段ボールにドサッと入れた。 「サッカー賭博の件、聞いた?」 「あ……はい、あの都筑って人から」 「じゃ、生け贄、っていう話も?」 「……はい」 わたしはマグカップに 目線を落とした。 「みんな、どうして抜けるって 言えなかったんだろう。 もう、やめようって。 ……だって、 力で押さえつけられていたって わけじゃないんですよ? 誰かに怯えてるって わけでもなくて、 すごく仲良しだし……。 いったい、何があの人たちを 縛り付けていたのか…」 「友情よ」 「――友情――?」 先生の言葉の意味が分からず、 首をかしげる。
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