第1話 君が世界を変えるなら

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
君が世界を変えるなら もし君が世界を変えるなら、 私の世界から君は 居なくなってしまうの? 心の中にできる隙間は どうやってうめればいい? どんなときでも 君がここにいる保証は 出来なくて それでもずっと信じてた 君が世界を変えるなら、 この日常から消えるなら 私はドコにあり続ければいいの? 少しづつ霞んでいく世界 いつまでも追いかけていたい ずっと側に居たい きっと君にはこの世界は 輝いて見えるのね きっと私は、いつでもわき役で 居ても居なくても 誰も気づかない ずっと感じてた埋まらない隙間 戻れるなら、あの頃に帰りたい 隠された世界の隅っこで ずっと見ていた 眩しい世界を。 きっとそれは、誰かが夢見た世界 どうせ、特別は一人で十分でしょ? 名前なんて人を分ける無意味なもので でも、君に呼ばれるなら 嬉しいかもね 今更、触れたいなんて 未練がましいよね… ぱちぱちと瞬きすれば、 頬を伝ってこぼれ落ちていく涙 触れたい、と思うのに体が動かない 触れたい、と願う心に必死に蓋をする ぱらぱらと散る涙で 後ろ姿が滲んで見えて こんな近くに、 ほんの目の前にいるのに 私はどうすることも出来ない。 私が唇を噛み締めている間に、 その輝き滲む背中は一歩一歩 私から遠ざかっていって。 私は、そこから一歩も動けなくなって 頬を伝う涙も止まらなくて。 ふわり、優しい微笑みにまた涙がこぼれた。 すっごく。本当に、すっごく嬉しかったんだ。 ―――…だけど。 きっと、届かない。 私の呟いた名前が、君に届かなかったように。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!