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部屋から出ようとしたところでタイミングよく誰かが入ってきた。
入って来たのは、レキ。
俺を見て動きを止める。
勿論俺も。
気分的には悪い事をして見つかった時の子供のようだ。
「あー………その……」
たっぷり数十秒ほど停止していたけれど、俺は堪えかねて、何かを話そうとするけど、上手く言葉に出来ない。
いや、分かってはいるんだ。
俺が謝らなければいけないことくらい。
でもどう謝ればいいのかわかんねぇんだ。
それほど俺は重大なことをやらかしたんだ。
謝ろうとしてそれが出来ず困惑して目が泳ぎまくってると、ぎゅっと抱き締められた。
そして目から涙を溢れ出させていた。
「ごめんなさい……
私は何もできなくて、ダンジョン、モンスター、なのに、キンジさんを、私たちの、マスターを、守れなくて、弱くて、情けなくて、ごめんなさい……」
ちげぇ。ちげぇよ。
悪いのは俺なんだ。
戦わせるのが嫌で、守れないのが嫌で、俺はレキたちに守られる対象なのに拒否した。
命令って我が儘を使って。
だから謝られないでくれ。
叱ってくれ。
なんであんな馬鹿なことをしたのかって。
優しいんだ。優しくて逆に叱られるより心にくる。
「俺もごめんな。
守らせて貰えなくて。
ほら、俺弱いからさ」
弱いから、俺は守らせることはせず、一緒に戦うだろう。
何故なら、レキたちに死なれるのが嫌だから。
だから、ごめん。
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