事実

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………え? 今、なんて言った? 悠哉の発した言葉が理解できず、その場で固まった。 目を見開き、ゆっくり顔を上げると、悠哉は微笑んでさらに続ける。 「俺はここにあるものよりも、お前の作る料理の方が好きだ」 …え? ええ!? ちょっと待って! こんな場所で、何言ってるの? …そんな、みんなに聞こえるように言わないでよ! そう訴えかけるように悠哉を見つめた。 …けれど。 「朝作ってくれた料理も美味しかったしな」 うそ!? やだ!やめて! ホントどうしちゃったの!? 悠哉の言動が理解できず、私は大きく口を開ききったまま唖然としていた。 すると、回りのざわつく声が聞こえてくる。 「今社長、なんて言った?」 「え?どういうこと?」 その声に、私の胸のなかは焦る気持ちでいっぱいになってしまった。 なんとか悠哉を止めなくては!という衝動に駆られていく。 …悠哉、お願い!やめて! 絶対ダメだって! 「お前の作ってくれる料理に敵うものなんて、ひとつも…」 だから!
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