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とても賑やかな会場から一歩外へ出ると、周りはホテルのスタッフたち以外人もまばらで、とても落ち着いていた。
会場内の空気が暑かったせいか、それとも事が色々ありすぎたせいか、ふぅと一息つく自分がいた。
悠哉は会場から出ても、私の手を引っ張っていくばかり。
一度落ち着いて、ちゃんと頭のなかを整理しなくてはと思った私は、声をかけてみた。
「悠哉、…あの、ちょっと待ってください」
すると立ち止まり、振り返る。
「…なんだ?」
「私、今いっぱいいっぱいなので、ちゃんと整理したいというか、…あの、落ち着きたいんですけど」
すると、悠哉が私を見つめた。
「…ああ、それは俺も同じだ」
そう返事すると、悠哉はまたも手を引っ張っていく。
ホテルの中をどんどん進んでいき、人気のない細い通路へたどり着いた。
あれ?ここどこ?
私がキョロキョロすると、悠哉は躊躇わずに私を壁へと追いやってくる。
ビックリして顔を上げると、悠哉が私に顔を近づけてきた。
「…で、さっきの男はなんだ?」
え、ええ!?
悠哉の気になってたとこ、そこですか!?
ああ、やっぱり誤解してたんだね…。
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