事実

12/17
前へ
/37ページ
次へ
とても賑やかな会場から一歩外へ出ると、周りはホテルのスタッフたち以外人もまばらで、とても落ち着いていた。 会場内の空気が暑かったせいか、それとも事が色々ありすぎたせいか、ふぅと一息つく自分がいた。 悠哉は会場から出ても、私の手を引っ張っていくばかり。 一度落ち着いて、ちゃんと頭のなかを整理しなくてはと思った私は、声をかけてみた。 「悠哉、…あの、ちょっと待ってください」 すると立ち止まり、振り返る。 「…なんだ?」 「私、今いっぱいいっぱいなので、ちゃんと整理したいというか、…あの、落ち着きたいんですけど」 すると、悠哉が私を見つめた。 「…ああ、それは俺も同じだ」 そう返事すると、悠哉はまたも手を引っ張っていく。 ホテルの中をどんどん進んでいき、人気のない細い通路へたどり着いた。 あれ?ここどこ? 私がキョロキョロすると、悠哉は躊躇わずに私を壁へと追いやってくる。 ビックリして顔を上げると、悠哉が私に顔を近づけてきた。 「…で、さっきの男はなんだ?」 え、ええ!? 悠哉の気になってたとこ、そこですか!? ああ、やっぱり誤解してたんだね…。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1135人が本棚に入れています
本棚に追加