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再び愛美を見てみるとまたもニマッと笑い、そこを去っていった。
俺は、そんな愛美を見送った後、再びなるの方へ振り向いた。
飲み物を口にしながら、しばらくその様子を眺めてみる。
…ずいぶん親しそうだな。
前にいた営業課の知り合いか?
…にしても、少し近づきすぎだろ?
ふぅと一息ついて、2人から視線を外した。
どうやら今ので、俺のなかに火がついたようだ。
もう一度、なるへ視線を送る。
見つめていると、隣の男がなるにより近づいて何かを耳打ちしていた。
と同時になるの顔が真っ赤になっていく。
…おい、ふざけるなよ。
俺のなかの火が一気に燃え上がったのがわかった。
…なんでいつもこんな思いにならなければならない?
こんな思いをするのは、俺だけ?
なる、お前は俺が他の女といるところを見て妬いたりしないのか?
それとも、そんな感情を表に出さないとか?
今までなるの感情が、表にはっきり出たときなかったか?
…いや、あったよな。
たしか、本城家のときも、愛美のときも、なるは必死で訴えてただろ。
触るなとか、渡さないとか…。
俺の名を、強く呼んで。
そう、…俺の名を…。
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