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「悠哉、待ってください!ちょっと急過ぎます。私、何も聞いてないし…、荷物だって、本来なら前もってまとめておくべきであって…」
私は必死に止めに入ろうとした。
けど、悠哉はなぜか冷静…。
「何言ってる?」
「え?」
「聞いてなくて当たり前だ。俺はお前に何もいってない」
だから!違ーう!
私が聞きたいのはそこじゃないし!
いつも悠哉はこうなんだから!
たしか、前にもこんなことなかったっけ?
…あれは、…ああ!そうだ!
桜を見に行ったとき。いきなり実家に行くことになっちゃったんだよね…。
もう!
「そういうことじゃありません。一緒に住むのはすごく嬉しいですけど、昨日の今日で、私の心構えというか、準備というものが…」
そう嘆いていると、悠哉は真っ直ぐ私を見つめていた。
その眼差しに、どこか力強さがあるような。
「これでも俺は、きちんと順を追ってるつもりだ。お前を俺のものにする、エゴなんかで終わらせない。そう思ってた。その時から俺の覚悟はできてる」
「…え?」
「お前も、覚悟を決めろ」
そう言って、悠哉はニッコリ私に微笑んだ。
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