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そうブツブツ言って残念そうな表情を見せながら、キッチンの方へと歩いていった。
私は悠哉の後ろ姿を見ながら、クスッと笑ってしまった。
そんなに残念がってくれるんだね。
一緒に通勤してみたいなぁって、ちゃんと思ってるよ。
…でもね。
それはしてはいけない気がする。
愛美さんと一度食事したときの会話で、私なんとなくわかっちゃったし。
悠哉の女性に対する軽いイメージを造り出したのは、女性側の軽率な態度でもあるんだということ。
私は、ただでさえ仕事場でも悠哉の近くにいる。
この関係を知ったみんなが、それをどう捉えるか…。
真面目に仕事に向き合っている悠哉のその姿勢を、私が崩してはいけない。
それに、私を良く思わない人だって少なくないだろうし。
きっと今日は、みんなの視線が集中すると思う。
…ああ、ちゃんとした態度を持って仕事しなきゃと思ってるんだけどなぁ、…私アホだからなぁ…。
…失敗しそう。
マイナスの空気が漂いはじめていた。
首を振り、一度深呼吸する。
手にしていた水差しを、ギュッと握りしめた。
大丈夫!
負けるな私!
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