専務不在!

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目を閉じて、今度はスゥッと息を吸う。 ダメ。 気にしててはダメ。 これぐらいで、ヘコんでなんかいられない。 目を開けて、エレベーターのドアを見つめた。 …しあわせって、なんだか難しいね。 そう簡単に、手に入れることはできないってことなのかな。 手を握りしめた。 でも私、何があっても、悠哉から離れる気はない。 ちょっとせつなくなりながらも、自分にさらに気合いを入れさせた。 最上階にエレベーターが到着。 私は、ただ仕事に集中しようとした。 一通り朝の掃除も済ませ、カウンターで落ち着いていると、エレベーターが開く。 あれ?もう悠哉来たのかな? そう思いながら覗くと、やってきたのは専務の秘書。 その方は、柏木さん。 柏木さんは、私が秘書になりたてのころから良くしてくれてて、ケータイ無くしたときも快く自分のケータイを貸してくれたり、この前の結婚パーティでも親しげに声をかけてくれた人。 パッと目が合い、私は慌てて挨拶した。 「あ、柏木さん、おはようございます」 そう声にしながら、もしかしたらまた無視されてしまうんじゃないか?そんな思いが心の中を過った。
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