専務不在!

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「ただ、…なぜ今まで秘書の経験もない営業課にいた事務の子が、いきなり社長の秘書に選ばれたのか、すごく謎だったんだよね」 その柏木さんの言葉に、私は息を飲んだ。 そうだよね。 たしかにおかしく思うの、わかる。 「私が何度専務に聞いても、社長のご指示ですのでってしか教えてくれないし」 …そっかぁ。 社長のご指示…。 …え? …社長の…? 私は柏木さんを見つめ返し、目を見開いた。 「…専務が、…そう言ったんですか?」 私が聞き返すと、柏木さんは頷いた。 「そうよ。あまりにしつこく聞いたもんだから、最後は社長に直接聞けって言われちゃったわ。もちろん、社長になんか聞けなかったけど」 …うそ。 待ってよ。 どういうこと? 私を秘書にしたのは、専務なんじゃないの? え?え? ああ、なんか、朝からいろいろありすぎて頭がうまく働かない。
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