絡む糸

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「こらぁ!ウサギ!これは高野課長じゃなくて、社長が受け持ってる取引先の資料だって」 「ああ!すいません!」 仕事はじめは、なんらいつもの毎日と変わらない、そんな雰囲気を漂わせていたのに。 時間がたつにつれ少しずつ慌ただしくなり、終いには、今何時なのか時間も確認できないぐらいの忙しさ。 柏木さんにさっきから注意されてばかりだし…。 っていうか、なぜか私は、柏木さんの中でウサギになってしまったらしい。 だからってウサギって呼ばなくても…。 どこかその構えは、愛美さんとダブったりする。 ダメダメ。 忙しいんだから、そんなことより仕事に集中! ちゃんと確認して、間違いのないように! そんな仕事の時間は、毎日あっという間に過ぎていった。 あれ?今日は専務が不在になって何日目? 最近、毎朝その確認から仕事に挑むくらい、専務の帰りを心待ちにする自分がいた。 …だって。 せっかく悠哉と一緒の生活を始めたものの、帰ってくるのは毎日日付が変わるころ。 2人の生活を満喫することなんて、全くといっていいぐらいにない。 …仕方ないことなんだけどね。
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