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そしてサラは道端に積んであるものをひとつひとつかわしながら走っていたが、敵はすべてお構いなしだ。酒の詰まった樽も、売り物にするのであろう果物や野菜が保存されている木箱も手当たり次第に壊しながら走っている。
それでも離されるわけにはいかない。けど、いろいろ理不尽。イライラが募っていた。
「――わっ!」
無駄な思考をしていたサラは、敵が放った攻撃に即座の反応ができなかった。
敵は道端の木箱を、振り返りざまにサラに投げつけていたのだ。
サラの視界を無数の木箱が覆う。
「――」
サラは判断する。大きさはそれぞれ、遠近、位置、速度のすべてを。
そうしてサラは、木箱を懐の短剣で断ち、肘でいなし、身をひねって回避する。
走る速度を落とさないままにすべての動作を行い、危険をやり過ごす。
(……やればできる私!)
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