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それに、泉が後ろでどこまでの取引を進めているかもわからない。
やつが取引先を拡大させているのは間違いないだろう。
新たな取引を進めることは、もちろんさらなる発展を望むことができる。
だが、それは今の俺がするべきことではない。
俺も泉に対抗しようと、取引先を拡大させていたかもしれないが、そうしなかったのは、S社との会議で取引を見直したいという一言があったから。
泉の名前が出てきたときは、正直お前にやられたと思った。
だが、その後よく考えてみたよ。
なぜS社が見直したいと思ったのか。
そう思わせてしまったのは、俺側に問題があったのでは?
俺にも、落ち度があったんじゃないだろうか?
そう。…ダメなんだ。
今までお世話になって良くしてもらってたとことの取引を、蔑ろにしてはいけない。
泉が広く攻めてくるのなら、俺は幅を広げられずとも、一社一社と、より深く。
それは今すぐ実を結ばずとも、これから先のわが社にとって、花を咲かせるいい土作になるはず。
その思いを胸に秘め、会場内をよく見渡し、自分からもさらに動いていた。
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