さざ波-1

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それに、泉が後ろでどこまでの取引を進めているかもわからない。 やつが取引先を拡大させているのは間違いないだろう。 新たな取引を進めることは、もちろんさらなる発展を望むことができる。 だが、それは今の俺がするべきことではない。 俺も泉に対抗しようと、取引先を拡大させていたかもしれないが、そうしなかったのは、S社との会議で取引を見直したいという一言があったから。 泉の名前が出てきたときは、正直お前にやられたと思った。 だが、その後よく考えてみたよ。 なぜS社が見直したいと思ったのか。 そう思わせてしまったのは、俺側に問題があったのでは? 俺にも、落ち度があったんじゃないだろうか? そう。…ダメなんだ。 今までお世話になって良くしてもらってたとことの取引を、蔑ろにしてはいけない。 泉が広く攻めてくるのなら、俺は幅を広げられずとも、一社一社と、より深く。 それは今すぐ実を結ばずとも、これから先のわが社にとって、花を咲かせるいい土作になるはず。 その思いを胸に秘め、会場内をよく見渡し、自分からもさらに動いていた。
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