さざ波-1

16/22
1035人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
今回の会合は、去年とはまた違うホテルで開催されている。 とはいえ、初めて行く場所ではない。 毎回抜粋されたホテルをローテーションさせて、会場が決められる。 社長になってから幾度となく会合に参加してきた俺は、その抜粋されたホテルの場所をほとんど把握済みだった。 会場に着き車を止めた後、そのホテルのなかへ。 エレベーターに乗り込み、会合が行われる三階に向かう。 そこへ着くと、すでにたくさんの人で賑わっていた。 受付を済ませていると、さっそく声がかかる。 「ああ、夏野社長じゃないですか」 その声に顔をあげ、笑顔で挨拶をかわした。 じっくり話をした後、また別な社長たちへと声をかけては挨拶をし、さらにじっくりと会話する。 情報収集に努め、また、日頃お世話になっている方には手厚く挨拶を。 なかなか身が疲れるところだが、そんなことは言っていられない。 この前、N社との取引を泉に持っていかれて以来、俺は新たな会社との取引を控えていた。 それは、以前からお世話になっている会社との取引までを、蔑ろにはできないため。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!