さざ波-1

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自分がこの場に何時に着いて、そしてどれくらい時間が経っているのかなんて、まったく考える暇がなかった。 それぐらい、真剣だったんだろうと思う。 少し一息つこうと、飲み物を手に取った。 一口飲んで、腕時計を見る。 気づけば14時を回っていた。 そして、もう一度会場内を見渡す。 ここへたどり着くまでのあの予感は、外れたか? どこにも泉の姿は見えなかった。 区切りのいいところで、そろそろ会場を後にしようと出口へ向かった。 来るときに乗ってきたエレベーターの前へ着くと、かなりの人数がそこで立ち往生している。 今から来る人達もいたりで、なかなか進んでいかない。 俺は、そのエレベーターから真っ直ぐ続いている通路の先を見つめた。 たしか、この奥にもうひとつエレベーターがあったはずでは? 俺はふぅと一息ついた後、その通路を歩き始めて別のエレベーターへ。 奥へ進むにつれ、会場でのざわつきが少しずつ落ち着いていく。 何も考えなしに、ただ歩いていた。 ふと、顔をあげて前方を見ると、俺が向かっているエレベーターから人影がふたつ。 降りてきたかと思うと、そのままこっちへ歩いてくる。
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