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自分がこの場に何時に着いて、そしてどれくらい時間が経っているのかなんて、まったく考える暇がなかった。
それぐらい、真剣だったんだろうと思う。
少し一息つこうと、飲み物を手に取った。
一口飲んで、腕時計を見る。
気づけば14時を回っていた。
そして、もう一度会場内を見渡す。
ここへたどり着くまでのあの予感は、外れたか?
どこにも泉の姿は見えなかった。
区切りのいいところで、そろそろ会場を後にしようと出口へ向かった。
来るときに乗ってきたエレベーターの前へ着くと、かなりの人数がそこで立ち往生している。
今から来る人達もいたりで、なかなか進んでいかない。
俺は、そのエレベーターから真っ直ぐ続いている通路の先を見つめた。
たしか、この奥にもうひとつエレベーターがあったはずでは?
俺はふぅと一息ついた後、その通路を歩き始めて別のエレベーターへ。
奥へ進むにつれ、会場でのざわつきが少しずつ落ち着いていく。
何も考えなしに、ただ歩いていた。
ふと、顔をあげて前方を見ると、俺が向かっているエレベーターから人影がふたつ。
降りてきたかと思うと、そのままこっちへ歩いてくる。
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