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大谷くんが不思議に尋ねても返事がない。
私も顔を上げて幸恵を見てみた。
すると私たちの後ろをただ見つめている。しかも、段々顔は赤みを増していった。
気づけばさっきまで入り口で起きていたざわつきが、私たちを取り囲むようにして聞こえている。
何事かと振り返ろうとしたそのとき、私たちが座っているその席のテーブルにゆっくり両手を着く男性が1人。
その男性を見て、私の心臓は飛び出してきそうなほど大きな音を立てた。
大谷くんもビックリしたのか、すぐに声を出して反応する。
「し、社長!?…あ、おつかれさまです」
その挨拶に悠哉が軽く手をあげていた。
私は状況が理解できずに、頭の中が軽くパニックに陥っている。
な、なんでこんなところに!?
口をあんぐり開けていると、悠哉は私を見つけてニッコリ笑った。
「なる、ここにいたのか。…随分探したよ」
「…え!?」
さ、探してたの!?
連絡くれればよかったのに…!
「携帯に連絡したんだが…、出ないってのはどういうことだ?」
「ああ!?そうなんですか!?」
私は慌ててケータイを取りだし確認してみる。
すると着信履歴が…。
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