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その言葉に共感することができるのは、少しずつ自分の心が現状に追いついてきた証しなのかもしれない。
胸張って歩くにはもう少し時間がかかるかもしれないけど…、ホントに少しずつでまだまだ弱い自分かもしれないけど…、それでもちゃんと前に進めてる。
ほんのちょっと、実感できたかも。
悠哉の歩く後ろ姿を見つめながら、胸のなかが熱い想いでいっぱいになった。
会社を出て真っ直ぐ駐車場に向かい、私たちは悠哉の車に乗り込んだ。
エンジンがかかると、悠哉は車をゆっくり走らせていく。
急な用事って何なんだろう?
そう思い、声をかけてみる。
「用事って何ですか?」
その問いに、悠哉が私のほうをチラッと振り向いた。
「ああ。さっきロスから連絡もらったんだ」
「え?」
…ロス?
「来週、会長が戻ってくる」
え!?会長様が!?
私はまたも驚くことになり、鼓動が大きく響きだし始めた。
「そ、そうだったんですか!ああ、帰ってくるんですね」
わぁぁ、ついに会長様に会うときが来たんだ!
上手く挨拶できるかな…。
あ、そうだ!
それまでにちゃんとマナーとか学んでおかないと。
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