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色とりどりの花が並んでいたらと想像するだけで、どこか涼を感じることができるかも。
そして、そっと目を閉じてみる。
この素敵な庭で、草花たちが活き活きと風に揺れる様を思い浮かべてみた。
うん、絶対気持ちいい。
自然と顔が緩んでしまう。
しばらくして目を開けると、悠哉は玄関前に着き私がやってくるのを待っていた。
いそいで悠哉のもとへ。
「すいません」
声をかけると、悠哉はニッコリ笑って頷いてくれた。
その笑顔に、さっきまで涼を感じていた私の頬はすぐに熱帯びてくる。
悠哉の前で涼を感じることなんて、この先あるんだろうか?
胸の中で自問自答していると、悠哉が私を見て人指し指を立てた。
「なるはここにいろ」
「あ、…はい」
「窓は閉めきってるし、家の中はかなり熱い。俺は少し様子を見てきたら戻る。それまで待ってるんだ」
そう言ってスーツの上着を脱ぎ、私の手元へ差し出してきた。
それをしっかり預かると、悠哉はまたも鍵を出し、引き戸式の玄関のドアを開け中へと入っていった。
その入っていった玄関の中をチラッと見て、私は一歩後退りした。
ひ、広い…。
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