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「早めに頼んで掃除を済ませてもらったほうが良さそうだ。悪いが今連絡するから、もう少し待ってられるか?」
「あ、はい!大丈夫です」
すると、悠哉は電話をかけて業者さんと話をし始めた。
そんな悠哉の立ち姿を、しばらく見つめた。
ちょっと胸が、くすぐったくなってくる。
ここで悠哉は、小さい頃から過ごしてたんだよね。
ここにある物は、ずっとずっと前から見ていた物ばかりなんだよね。
悠哉が成長していく様を想像することに触れられただけで、どこか満足感。
来るときは少し戸惑ったけど。
来てよかった。
「ああ、それじゃ、よろしく」
悠哉がそう挨拶する声が聞こえると、電話を切っていた。
「業者さん、大丈夫そうですか?」
「毎回のことだからな。話もすぐついたよ」
その言葉に笑顔で返し頷いた。
「悠哉の実家、すごく素敵な所ですね」
「そうか?」
「庭を眺めてるだけでリフレッシュできちゃいます」
すると悠哉はニコッと微笑んだ。
チラッと腕時計で時間を確認した後、口を開く。
「もう少しゆっくり案内させたいが、そろそろ休憩も終わる。それはまた今度、会長がいるときにするとしよう」
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