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「…もしかしたら、余計なことだったのかもしれない」
そう。これはきっと、そこまでする必要はないんだよって誰かが教えてくれたのかも。
物事には、前兆というものがある。
それは良くも悪くも、何かを自分に伝えようとしてくれてたりするんだよね。
きっと、洗う必要はなかった。
…そう思うことにしよう。
そしてまた一息。
髪の毛も、服も、ビショビショになっちゃったよ。
着替えなくちゃ。
お風呂場から出て洗面台の前へ。
棚からバスタオルを出し、左側に結んでいた髪の毛をおろして拭っていた。
鏡のなかの自分を見つめ、化粧まで直す必要はないとわかった私は、そこから出ようとドアを開ける。
開けた瞬間、目の前に人の気配を感じた。
顔を上げ絶叫。
「キャァァァァァ!」
その声に、悠哉は驚いたのか後ずさりしていた。
「あ!あれ、悠哉!?帰ってたんですか!?」
「おまえな、…主人にむかって叫ぶとはどういうことだ!?」
…え!主人!?
その言葉にすぐさま頬が反応する。
いや、たしかに主人だよね。
「ご、ごめんなさい!帰ってきてるだなんて思わなくて…」
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