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すると、悠哉は片眉あげて私の顔を見つめてくる。
「えっと、おかえりなさい」
そう言ってニッコリ笑ってみた。
「ただいま。…で、なんで濡れてるんだ?」
私はそっと視線を反らした。
「あはは…。ちょっとドジりました」
そう言うと、目を細めてさらに私に顔を近づけ覗き込んでくる。
少し目を泳がしながら、ボソッと呟いた。
「…お風呂場の天井を洗おうとしたら、水をかぶっちゃったんです」
すると、悠哉は目をパチッとさせた。
しばらく見つめられたかと思うと、クスクス笑いだす。
そんな笑いを、私は顔を赤くして横目で見つめた。
…わかってるもん。
アホなのは、わかってる!
ブスくれていると、悠哉はそんな私にニッコリしてくる。
首に巻いているバスタオルを悠哉が手にすると、優しく髪の毛を拭ってきた。
「…なるのこいういところ、好きだよ」
え!?
いきなりのその言葉に、顔が沸騰する。
「…アホなところが、好きなんですか?!」
真面目な顔をして尋ねると、悠哉はプッと吹き出し、さらにクスクス笑った。
「いや、今のは語弊があったな。…そうじゃなくて、こう、俺の心を和ませるというか…」
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