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仕事量だって俺とそんな変わらないだろ。
はたして、真面目に話しているのか冗談なのか。
もし本気だとしたら…、やはり思ったとおり、こいつは俺以上ということになる。
なるに触れたとき、またああだこうだと言われたならば教えといてやろうか。
俺はまだ、優しくて控えめな方だと。
「悠哉」
「…はい」
「お前が選んだ子だ。2人が笑顔でいられるよう、仲良くやりなさい」
穏やかに話すその表情を見て、心のなかで一息つく自分がいた。
「はい」
静かにだが、身を引き締めながら力強く返事をする。
なんとなく、胸の中はあたたかだった。
このあたたかさをなるにも伝えてやりたい、自然とそう思えた。
俺となるの話に区切りがつくと、会話は仕事のことへと流れていく。
ここ一年間の仕事内容や業績、また他の支社のことまで幅広く話題にあがった。
会長は、俺や片桐の話を聞いては頷き、気になることに関してはその場ですぐに尋ねてきた。
だが、この会議にそんなに時間をかけることはしない。
日本に着いて間もない会長の体を考え、細かい話は徐々にこれから。
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