死神

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  しーんと静まり返った清潔なトイレ。 ウォシュレットのボタンを押して、ささやかな気休めに浸っていると、 トン、トン、トン。 誰かがドアをノックしたそうです。 Nさんはとっさに管理人のおじさんかと思い、 「入ってます」 と声をかけました。 するとドアの向こうから、明らかに管理人ではない声が話し掛けてきたそうです。 「山○○雄さんですか?」 抑揚のない、少し甲高い感じの声がしました。 「い、いえ違います」 Nさんは動転しながらも、そう答えました。 すると矢継ぎ早に 「田○○郎さんですか?」 Nさんは思わずドアノブを固く握り締めていたそうです。 なぜなら、扉の向こうに人の気配がなかったからです。 「○村○明さんですか?」 (この名前はすべて仮名です。Nさんはパニック状態で、ある一人の名前以外、全然覚えていないとのことです) →
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