第二章

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画面には、まだコメントは書き込まれていなかった。何故だかほっとした、蒼は見ていないだろう。 なんだか、先程までの高揚感が落ち着いている。消しちゃおうか?そう考えた瞬間、メールが届いた。周りにも見られてしまうコメント欄とは別に、相手だけに見られる様にメールが送れる。 そう、自分で立ち上げに関わっていながら、基本的な使い方がわかっていなかった。 少なからず、誰かに覗かれる場所に、会えないかと書き込んだ自分が急に恥ずかしくなった。 蒼からのメールの内容を確認する前に、慌ててコメントを消した。 メールをくれたぐらいだから、蒼へのメッセージは届いたのだろう。もう書き込んだコメントの意味などなかった。 メールのマークを前に、治まっていた鼓動が再び活動を再開する。蒼はどのような返事を書き込んでくれたのだろうか? クリックすれば、すぐに読める。会わないと云った返事でも、蒼は私を傷つける様な書き方はしないだろう。 それでも、断られれば悲しい気持ちになるだろうと思った。 傍らに置いた珈琲を口に含んだ。思い返せば、この処誰かに拒絶される事に慣れていない。 もしかすると、蒼に会わないと言われる事が嫌なのではなく、拒絶される事が怖いのかも知れない。 一呼吸置いて、メールマークをクリックする…
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