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第四章
目が覚めたのは、七時過ぎ。以前の様にゆっくりと眠っていられないのは、年齢のせいなのだろうか。
『眠るのって、案外体力がいるのよね』
いつだったか、ユキさんから聞いた気がする。ふ~ん、そんなものかと聞き流していたけれども、確かにそうかも知れないと感じてしまう。
気持ちが切り替わったら、蒼に会ってしまっても良い様に思えた。
作品を見たい、気に入れば買いたい。それは、本心でもあるし言い訳でもある。
情けないけれども、建前があると随分気が楽なのだ。
カジュアルな服に、白いジャケット。身構える必要の無いスタイルに決めた。
先週とは違って、ギャラリーへゆくのが愉しみになっている。
時計を眺めるけれど、まだ時間が早すぎる。買いこんでみたものの、目を通していない本から一冊だけ選びだした。
駅に向かう途中に、オープンテラスのカフェがあった。休日の朝、たまに出かける店。
本でも読みながら、時間を潰そう。どうして、目的があると活動的になるのだろうか。
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