第四章

38/40
前へ
/40ページ
次へ
「そうなんだ…作家としては、嬉しいけどね。なんだろう、複雑な心境かな」 拗ねていた表情は、微笑みを取り戻していた。 「ごめんね、自分で言うのも変だけれど、少し頑固な処があるのかも…」 確かに…そう良いながら、蒼が笑う。少し羨ましいと思ってしまう。 嫌な事があっても、愉快な事があっても、蒼の様に素直に表情は変えない。 何時からだろうか?自分の表情にこれ程気を遣う様になったのは… 気分が悪いからと、悲しいからと、嬉しいからとそのまま表情にしていては、仕事にならない。 そうして、悲しくても、落ち込んでいても普通の表情でいられる様になった。 自然な表情でいられる…それは、単純だけれども幸せな事かも知れない。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

900人が本棚に入れています
本棚に追加