第四章

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少し買い物をすると、他にも欲しい物が出てきた。 カップの深い青色に合わせて、カーテンを変えてみたくなる。 港の近くに出来た、大型の家具店に行ってみたくなった。 想像してみる、小さめの丸いテーブルとそれに合わせた椅子。素材は濃い木目が良い、カーテンは明るめが良いかも知れない。 まさか、カップに合わせて模様替えが始まるとは、考えてなかった。 いや、カップそのものの魅力もあるだろうが、やはり蒼が魅力的なのだ。 その事を否定はしない。 カーテンに、テーブル椅子。ポイントになる物があると云う事が、これ程何かを選ぶ為に大切だと思わなかった。 気持ちの良い部屋になりそうだ。軽い足取りで部屋に戻ったのは夕方だった。 夕食をどうしようかと、考える。この愉快な気持ちを保ちたい。ケータリングやコンビニでは侘しすぎる。 また出掛けるのも、億劫でもある。そうして、何をするともなく時間を過ごしていた時、部屋の電話が鳴る。 驚いた、携帯が鳴る事はあっても、部屋の電話が鳴る事など、随分と久しぶりだった。 「佐野さんのお宅ですね。お届けものなのですが、今からお持ちしても宜しいでしょうか?」 丁寧な言葉遣いの男性の声だった。昼間に買ったネスプレッソマシンだろうか?まさか、先程買った家具が届く筈もない。
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