第四章

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暫くして、部屋のインターホンが鳴った。小さな液晶のモニターに映っていたのは…蒼だった。 どうしよう…モニターを眺めながら、硬直してしまう。 この間とは違う、カジュアルな格好で手には小さな箱を大事そうに抱えていた。 「えりさん…ですよね?…降りて来てもらえませんか?」 開けてくれでは無く、蒼は降りてくれと告げた。 「少しだけ、待ってくれるかな」 ドキドキと鼓動が高鳴っている。どう対応して良いかわからない。 考え様によっては、少し怖くもあった。それでも、部屋を出てエレベーターで一階まで降りる。 手には、財布と鍵と携帯を握りしめていた。何故財布なんだろうと、可笑しくなる。 エレベーターが開くと、目の前はガラス張りの自動ドア。私の姿を目に止めた蒼が、大きく頭を下げるのが見えた。 ルール違反、蒼はそれを充分に理解していた。頭を上げた時の、蒼の表情は強張っている。 その表情を見て、私はゆっくりとドアに向かって歩き出した。
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