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暫くして、部屋のインターホンが鳴った。小さな液晶のモニターに映っていたのは…蒼だった。
どうしよう…モニターを眺めながら、硬直してしまう。
この間とは違う、カジュアルな格好で手には小さな箱を大事そうに抱えていた。
「えりさん…ですよね?…降りて来てもらえませんか?」
開けてくれでは無く、蒼は降りてくれと告げた。
「少しだけ、待ってくれるかな」
ドキドキと鼓動が高鳴っている。どう対応して良いかわからない。
考え様によっては、少し怖くもあった。それでも、部屋を出てエレベーターで一階まで降りる。
手には、財布と鍵と携帯を握りしめていた。何故財布なんだろうと、可笑しくなる。
エレベーターが開くと、目の前はガラス張りの自動ドア。私の姿を目に止めた蒼が、大きく頭を下げるのが見えた。
ルール違反、蒼はそれを充分に理解していた。頭を上げた時の、蒼の表情は強張っている。
その表情を見て、私はゆっくりとドアに向かって歩き出した。
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