第六章

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「そう云えば、役員の方達はこの件ご存知なんですか?」 「気が付いてるだろう、そのぐらい。まあ、彼奴らにしてみたら、俺の目が外に向いてる方が有難いんだろう」 「そうですか…」 「彼奴ら、完全に守りに入ってるからな。今だにロクな案件すら、持って来ないんだからな」 「また、そんな事ばかり仰ると、役員とぶつかりますよ」 「馬鹿だな、これでも大人になったんだぞ。随分大人しくしてるだろう?お前の前でぐらい、好きな事言っても良いだろう?」 「ええ、それは構いませんけど。相変わらず社長室から出てくる役員は、憮然としたお顔の方が多いみたいですよ」 榊は苦笑いしている、多分そんな事すら、誰も榊に伝えないのだろう。 「やっぱりお前、役員に昇格しないか?彼奴ら、なんとかしてくれよ」 「またご冗談を、嫌ですよ」 「つまらんな~」 どこ迄が本気なのだろうか…それだけ、榊は孤独なのだろう。
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