第六章

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子供を産まないと云う選択をするならば、ユキさんの様な生き方も出来るだろう。 それが、彼女が意図した選択であるのかは、私にはわからない。 羨ましいといった気持ちや、少し寂しそうだと感じる気持ちが交錯する。 やはり、私は厄介な女なのだと思えてくるのだ。 榊と蒼が同時に現れなければ、これ程悩む事も無いのかも…とも、思ったりする。 「いくらなんでも、極端すぎるんだよね…」 どれだけ考えた処で、簡単に結論がでるわけが無い。現実問題として、睡眠不足がすぐに肌に影響するのだ。 ベッドに移動して、アロマキャンドルに火をつける。使い捨ての温めるアイマスクを取り出して瞼を閉じる。 アロマの香りと、瞼の上で感じる暖かさに意識を集中した。暫くの時間で、意識が無くなった気がした。 目が覚めたのは、いつもの時間。懐かしい夢をみていた気がする。 私はまだ子供で、側には母と父がいる。父の膝に座る私を、母が笑って見つめていた。 ただそれだけの夢…それでも、幸せな気分で目が覚めた事が嬉しかった。
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