第六章

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段々と考える事すら、億劫になりそうだ。昨晩、ユキさんと話して気が楽になったと思えば、もう悩んでいる。 それにしても、恋愛一つで此処まで考える私は理屈っぽいだけなのか? いつもなら、仕事モードに入る平日にすらこんな風に考え込んでしまう、そんな自分にも少し苛立ってしまう。 いっその事、長期の休暇でもとって自分を見つめ直すのも良いかも知れない。 蒼の事も、榊の事も、仕事も忘れてのんびりと過ごす… そんな現実逃避の妄想を働かせてみる… 南の島で… ワインの本場フランスで… 世界遺産でも… 参った、在り来りの想像を膨らませてみるけれども、その先が思い付かない。 どう考えても、蒼といる時のときめきや、榊といる時の高揚する気持ちには勝てそうに無い。 榊を見ていて、趣味も無い不憫さを感じた。けれども、それは私も同じだった。 『愉しまないとね』 私って、今まで何をしてきたのだろうか?
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