第六章

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「部長、さ来週の日程出来ました。それでですね…最終の処で二日間北京の視察なんですけど…」 「どうかした?問題でもある?」 「ちょっと、仕事が立て込んでまして…先に帰っても良いですかね?」 「そう、仕方ないわ。誰が先に戻るの?」 「それが、出来れば全員なんですけど…」 「ん~仕方ないね。そうすると、社長と秘書課の子と私の三人って事か」 「え~っと…ですね。それが、彼女事情があって行けなくなったみたいです」 「えっ?じゃあ、社長と二人って事?」 「ええ、まあ此方からはそうなります。沈さんは同行するみたいですけど」 「そう…まあ、仕方ないね。その件、社長には伝えた?」 「まだなんですよね…出来れば、部長からお伝え願いたいんですけど」 最終の北京は、付録の様な行程でもあった。仕事でも無いのに、社長と同行が嫌なのだとも感じたけれど、忙しいのも事実だろう。 「良いわ、私から伝える。いい?田中くん、一つ貸しだからね。向こうで何か、奢らせるからね」 少しバツの悪そうな顔で笑って、田中がデスクへ戻る。
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