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「そうか、残念だな。で…お前はどうする?」
昼下がりの社長室、応接用のソファーに向かい合って榊と話す。
「社長はどうされます?」
「俺は行くさ、上海と北京の違いも肌で感じて見たいしな。お前も無理しなくていいぞ」
無理しなくて良い…そう言われて気が変わった。私は、案外捻くれ者なのだ。
「あら、それも考えましたけど。社長の可愛い秘書のお嬢様から、変わりに面倒みてくれって頼まれましたからね~」
榊が苦笑いしていた、思い当たる節があるのかも知れない。
「そんな事言ってたのか」
苦笑いを浮かべた侭、榊が応えた。この処、少し秘書課と榊の雰囲気が変わって来ている気もしていた。
今回の出張に、秘書を同行させる事も少し不思議だった。
『別に、打合せに同行させても仕方ないだろう。どうせその辺に座って、待ってるだけだ』
余程で無ければ、秘書を同行させる事は無かったのだ。
「えっと…何か、思い当たる節がありそうですね?」
「ああ、まあな。最近、あいつ等に頼む事が多くてな~」
「頼む事…ですか?」
「ああ、家がそのままだから…雑用頼む事が多いんだよ。最近、あいつ等小姑みたいでな」
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