第六章

8/40
前へ
/40ページ
次へ
「酷い女だな、それじゃ男がいますって言ってるのと、同じじゃないか?」 怒っている風でもなく、むしろ少し愉快そうに榊は話した。 「別に付き合ってるってわけでも、無いですから。まだ、どうなるかも分かりませんね」 「どうして、それを俺に話すんだ?黙ってれば分からないだろうに」 確かに榊の言う通りだ、何も蒼の事を話す必要は無かった。 「そうですね…でも、フェアじゃ無い様な気がして」 「フェアじゃない?」 「そうですね…向こうは、貴方の事を彼氏だと思ってますから…」 「そうか、それは光栄だな。で、そいつはどう答えた?俺って彼氏がいる事に」 榊の唇が額に触れる、優しい口づけだった。 「怒らないんですか?」 「怒る…どうしてだ?まだ、お前が俺の物になったわけじゃ無いしな…それでも、妬ける事は事実だな」 「酷い女ですよね、きっと。それでも、正直に話したかったんです」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

967人が本棚に入れています
本棚に追加