第七章

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《朝八時で良いかな?》蒼からのメール。味も素っ気もないシンプルな文面だった。 SNSの時にも感じていた、多分蒼はこうした遣り取りが苦手なのだろう。今時、絵文字も顔文字も使わない男。 《待ってるね。あまり早く来ちゃダメだよ》 文字の最後に、ハートマークでも入れようか数秒悩む。それでも、似合わない気がしてそのまま送信する。 気軽にそうした飾りの出来る事が羨ましく思ってしまう。 少し下拵えをして、早めに眠りたかった。八時に迎えに来る蒼、六時に起きれば大丈夫だろう。 そんな事を考えていると、携帯電話の着信音が響いた。慌ててキッチンから出て、リビングのテーブルへ向かう。 多分、蒼からだろう。そう思ってディスプレイを覗く…榊からの着信だった。 何故だか、慌ててしまう。フっと息を吸い込んで小さく吐き出した。悪い事を企んでいる子供が、問い詰められる…そんな馬鹿げたイメージが頭に浮かんだ。 「はい、佐野です。どうされたんですか?お珍しい」 「ああ、悪いな…いや、別に用事があるわけじゃ無いんだが…」 「…構いませんけど、まさか寂しくてとかおっしゃいませんよね?」 明るめに、少しふざけた調子でそう告げた。そうでもしないと、会話が続きそうに無かった。 「ああ、そうか…寂しかったのか…俺は」 あまりに素直な切ない言葉だった、思わず胸がチクリと痛む。
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