第八章

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予定の無い日曜日。この処蒼に会ったり榊に会ったりで、一人で過ごすのは久しぶりだった。 来週の月曜から一週間の出張が控えていた。取りたてて、新しく必要な物も無いけれど買い物にでも出掛けてみようと思った。 ふと、榊の事を考える。一週間の出張…ちゃんと支度は出来るのだろうか?そんな考えが浮かんで、苦笑いしている自分が居た。 子供じゃあるまいし…それに、私には心配する資格もない。 それでも、携帯を見つめている私がいるのだから、始末が悪い。 どうしようか…電話でもしてみようか。昨日は、着信履歴もメールも入っていなかった。 『そうか…寂しかったのか、俺は…』 その言葉が浮かんでしまうのは、いけない事だろうか。フリップを開いて、履歴を見つめる。 さて…どうしよう。暫く見つめていると、液晶画面は暗くなる。まあ、良いやそう思った瞬間携帯が鳴り出す。 「俺だ…休みなのにすまんな。今、良いか?」 「おはようございます、大丈夫ですよ。どうされました?」 「ああ、悪いな。今日は、暇なのか?」 「社長…その言い方は失礼かも。偶々暇なだけですからね」
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