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「すまんな…」
「社長…謝ってばかりですよ。本当は、私も電話しようか迷ってた処ですよ」
何故だか、謝ってばかりの榊の様子に、つい素直に話してしまった。そうか、そう答える榊の言葉は思いの外嬉しそうに響いた。
「それで、どうした?何か用事が有るのか?」
「ご自分から電話なさったんですから、お先にどうぞ」
「あ~、それはそうだな。良ければだけど、買い物にでもいかないか?」
「そうですね、良いですよ」
「やけにあっさり答えるな。拍子抜けするぞ」
ホッとした様に、愉しそうに向こう側で榊が笑う。子供みたいだ…何処に居るのです?問いかけた答えに驚いた。五分で着くよ…
呆れた…私が断れば、どうしたのだろうか。
「あの、ですね。レディーには、出掛ける為に必要な時間と云うものが有る事はご存知でしょうか? 」
「もちろんだ、マンションの前でのんびり待つさ。それとも、花束でも抱えてお出迎えしようか?」
「ええ、お気持ちは大変嬉しいですけど…邪魔になるから、結構ですわ」
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