第八章

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愉快な気分で、バッグを肩に掛けて部屋を出る。 エレベーターを降りて、エントランスに出ると私を確認して慌てて煙草を揉み消している。 「お待たせしました」 「ああ、退屈で死ぬかと思ったよ。早めの昼メシでも食べるか?」 「良いですね、お任せしますよ。それにしても…社長、えーっと俊介さんの運転なんて初めてですね~」 「三浦の運転の方が良かったか?」 「さあ、乗せていただいてからコメントさせていただきますわ」 笑いながら、助手席のドアを榊が開ける。茶目っ気たっぷりな仕草で、私を車に招き入れた。 まるで運転手の様に両手で静かにドアを閉めて、愉しそうに運転席に乗り込んだ。 「なあ、どうして電話しようと思ったんだ?」 片手でハンドルを握りながら、ポツリとそう呟いた。 「そうですね~。放って置くと出張の準備も出来そうにない、 手の掛かるBOSSが可愛い秘書を直前で振り回しそうで、見て居られなかったって処でしょうかね~」 「さすがだな、その通りだよ。全く手の掛かる男だな」
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