第八章

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「そんなに、誘い難いですか?私の事」 注文したコースのサラダとスープを口に運びながら、榊が淡々と話し出す。 「そうだな…正直に話せば、色々と自信が無い。仕事とは勝手が違うからな~」 「世の中の男がブーイングしますよ、その話…」 「まあ、茶化すなよ。失敗した男は臆病なんだよ…多分、俺はえりの事が好きなんだろうな」 「私は…」 どう答えようか悩みながら、答えかけた私を榊が制止する。 「良いんだ、無理に答えなくても。えりにも事情があって、俺にも事情がある… まあ、当たり前の話だ。惚れたからって、それだけで付き合っていける理由にはならないだろう」 「そうですね、私もすぐに答えを出せと言われれば、どうして良いか困ると思います」 「 厄介なもんだな…長い付き合いで、こうなるとは思って無かったよ」
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