第十一章

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機内に荷物を預けていない榊は手持ち無沙汰に此方を見ている。 「お待たせしました…」 「三浦を探さないとな。乗って行くだろ?」 「ええ、そうしていただけると助かりますね」 スーツケースを転がしてゲートを出る。榊は少し前を歩いて運転手の三浦を探していた。 時間に几帳面な三浦の事だ、すぐに見つかるだろうと榊の後ろ姿を見つめていた。 「おかえり、えりさん」 背後からそんな声が聞こえたかと思うと、ひょいと重たいスーツケースを担ぐ蒼がいた。 「あっ…蒼くん!?」 思わず裏返る声でそう小さく叫んでいた。 その声に反応して、榊がゆっくりと振り返り蒼と視線を合わせる。
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