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一瞬だけ榊は怪訝な表情を浮かべるが、すぐに蒼の事を理解した様子だった。
私は何も言葉に出来ないまま立ち竦んでいる。
目を逸らすわけにもいかず、榊を見つめていた。
蒼から私に視線が移ると、横にいる蒼も此方を向いた。
榊の行動は思いがけないものだった。私に向けて少し可笑しそうに笑うと、くるりと背を向けて背中越しに手を振る。
そうして榊を見つけた三浦に向かって歩き出した。
「ふ~ん、余裕だねぇ~」
榊と三浦が二言三言の会話を交わしているのを見つめる横で蒼がそう呟いた。
「来てくれたんだ…」
他に気の利いた台詞など思い付かなかった。
「困らせたよね…ゴメンね、えりさん」
「ゴメンって顔はしてない…ね」
「そうだね。まあ、僕なりの宣戦布告かなぁ~」
「宣戦布告って…なんだか物騒な言い方」
「怒ってる?えりさん…」
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