第十一章

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「私に怒る資格なんてないわよ…」 蒼は笑いながら此方を見つめている。宣戦布告なんて言ったわりにサバサバした表情だと思う。 「そんなに難しい顔しないでよ。送るよ家まで」 私の返事も聞かないですたすたと前を歩く。細い身体なのに軽々とスーツケースを背負ったまま… 「蒼くん、重くないのかな?転がせば良いのに」 「ああ、確かにそうだね」 そう言いながらスーツケースを床に下ろすと、そのまま抱えるように座り込む。 「ほら、やっぱり重かったんじゃない」 ゆっくりと顔を上げて蒼が下から私を覗き込むように見つめた。 「そんな事じゃないよ…なんだか恰好悪いなって…俺」 「恰好悪いって…何が?」 「……凄く…嫉妬してる。あのヒトに…」
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