第十三章

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いつから一人で居る事が不安になったのだろうか。もしかすると、その事が寂しくて誰かを求めているだけなのだろうか。 自分が嫌な女に思えてしまうと、そこから抜け出せなくなりそうで怖い。 ベッドの脇にアロマのキャンドルを焚いて、静かに深く深呼吸を繰り返す。 大丈夫…また目覚めればいつもの自分に戻れる筈だ、これまでだってそうしてやってきたのだから。 余程疲れは溜まっていたのだろう、深い眠りへとすぐに堕ちていた。 いつもの様に目が覚めたのはアラームが鳴り出す五分前だった。 もしかすると嫌な夢でも見ていたのだろうか、額や脇に嫌な感じの汗をかいている。 そんな夢を覚えていない事に感謝したい気分だ。気分を切り換える為にシャワーを浴びて珈琲を淹れる。 食器棚から蒼のカップを取り出して良い香りの珈琲を流し込んだ。 使えば使う程手に馴染んでくる器。まだ連絡をしていない蒼の顔が浮かんだ。
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