第十三章

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『あの若い奴に負けるのも癪だしな』 昨夜の榊の言葉を思い出す。ドキりとした… 自分でも分かっているのだ。決められない自分が腹立たしく思えるのと同時に、片隅ではその状況に浸っている自分がいる事も。 タイミングさえ違えば、私はどちらとも付き合っているだろうと思う。 心の何処かで昨晩榊が諦めてくれれば良いとも感じていた。 今ですら、蒼が呆れてもう連絡をしてこなければとさえ思っている。 いっそ世の中のモラルなど気にしない程に図太ければ、どちらかが呆れて逃げ出す迄つき進むだろう。 悪い女にもなりきれない、可笑しくて仕方がない。 珈琲を飲み終えて、それでも一日はまた始まる。
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