第十三章

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起き上がった彼女の身体は此方を向いたままで次の言葉は出てこない。 私もずっと彼女を見つめたままでいる、おそらくほんの数秒の事なのだろうけれどもとても長く感じられた。 冷静になると彼女の表情が怒りよりも戸惑いの方が大きい事に気が付いた。 此処に来てしまったけれども、どうして良いかわからないのだろう。 「とにかく何処かでお茶でもしましょうか」 修羅場はごめんだ…その気持ちは正直なところだけれども余裕ができれば、彼女が可哀想に思えた。 コクリと頷いた彼女は何処かほっとした風にも見える。 何処へ行こうか悩んだけれども、人目の多い明るい店が良いと思い入り慣れていないファミレスを選んだ。 テーブルを挟んでお互いの目の前にはアイスコーヒーのグラス。 私は彼女が話し始めるのを待っている。私から話を切り出せば、すべてが言い訳になりそうで怖いのかも知れない。
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